竹は究極のエコ素材

綿や麻、木材など数あるなかでも、僕が一番納得できる素材です。江戸時代にも皮でおにぎりを包んだり、幹を水筒にしたりするなど、大いに活用されていました。とても汎用性が高いのです。

現代では、すでに竹炭の洗剤や服が販売されていて、ガチャガチャのカプセルのような容器も発明されているし、土に与える栄養としての粉末もあります。竹の粉は一般にも流通していて量産できそうなので、竹の粉をプレスにかけて、照明の傘や食器を作りたいと考えています。

現にベルリンでは、コーヒー粉の出がらしからコーヒーカップが作られています。素材は違いますが、竹でもできるはずです。食器として活用するには衛生的な観点からまだまだこれからたくさんのテストや施策を重ねないといけませんが、竹の粉の可能性をとても強く感じています。

社会的にも、竹は究極の環境配慮型の素材として注目されています。その理由は成長が早く、2年で伐採して加工・製品化できるからです。育った竹を伐採して服や照明をつくったら、それが使い込んでボロボロになる頃には、次の世代の竹がもう育っている。そうして使い終わったものを肥料にしながら1世代、2世代……とサイクルを回していけば、特定の範囲で竹が循環します。竹で身の回りのもの全てを作ることができれば、はげ山を見て悲しくなることもなくなるはずです。
日本では少し前から、増えすぎた孟宗竹が地表を覆ってしまったために、植生のバランスが崩れてしまう「竹害」と言われる問題が起こっています。竹をどんどん消費することで、この竹害の解消にもつなげることができるはずです。

生活に必要なものの大半を竹で作ることができるようになった時には、竹製品専用の「循環ボックス」というゴミ箱があっても良いと考えています。
着古した洋服を雑巾として活用し、もうそれ以上ないほど使い倒したら、最後はハサミで細かくして循環ボックスに入れる。コップも、ぼろぼろになったり壊れてしまったりしたら細かくして入れる。それを畑の土に混ぜれば、竹に含まれている乳酸菌が土を活性化させて、おいしい野菜が育ちます。わずらわしい分別作業も焼却処分も不要になり、空気中の二酸化炭素の量を増やすこともなくなります。

鎌倉にバルクショップをオープンさせて、そこでつかうもの全てを竹製でそろえるのもおもしろいかもしれません。量り売りの容器は竹製で、ボロボロになったら取り替える。竹がお店と家庭を行き来し、役目を終えたら土に。竹製品が循環するのです。