創業1900年「伝統の継承」鎌倉ハム富岡商会の新ブランド
– KAMAHAM PLUS+ –

  1. インテリア

JR横須賀線「鎌倉駅 東口」から徒歩5分の小町通りに、鎌倉ハム富岡商会の新ブランド「KAMAHAM PLUS+」を計画しました。小町通りは一年を通して観光客で賑やかな「場」である。
鎌倉ハム富岡商会の歴史は、1900年の創業に始まり、そのルーツはペリー来航まで遡ります。鎌倉の地で生まれたハムは、一流ホテルで提供され、その評判が広がり、長年地元に愛されてきました。ハムの文化を大切に育んできた歴史があります。

実は、私も幼い頃から鎌倉ハム富岡商会さんの商品に親しんできた一人です。母が作ってくれた、鎌倉ハム富岡商会さんのベーコンと卵焼きの味は今でも鮮明に覚えています。そんな大切な思い出が詰まった鎌倉ハム富岡商会さんとお仕事をご一緒できることを、大変光栄に思います。

今回、鎌倉という地に根ざす企業として、「鎌倉らしさ」をどのように表現できるかを深く考えました。しかし、単に表面的な「鎌倉らしさ」を模倣するのではなく、この地に宿る本質的な魅力を反映したデザインを追求しました。そのため、三重の熊野から取り寄せた無垢の桧を使用し、無塗装の素材感を活かした空間に仕上げています。現代のメンテナンスを優先して樹脂で固めた木材ではなく、呼吸する自然の木を選ぶことで、時間とともに深まる風合いと香りが空間に新たな質感を与えます。

今回のテーマは「伝統の継承」です。外観には桧材を使い、鎌倉ハムの製造に使用される木樽をモチーフにした総桧作りで、すべてが職人の手によって丁寧に仕上げられました。また、鎌倉の寺社仏閣をイメージし、釘を使わない伝統的な技法を取り入れることで、手仕事だからこそ生まれる独特の温もりと質感を表現しています。

さらに、外部と内部が自然に繋がるように設計された桧の木軸が、お客様を店内へと誘います。この木軸は、鎌倉の寺院建築に見られるような精緻な職人技術を用い、鎌倉の街並みとの調和を生み出しています。商品の種類が多い業態ですが、木軸に可動式の棚を設置し、季節ごとの商品陳列を自由に変更できるように工夫しています。

重要なのは、派手さで目を引くことではなく、空間に静かで上品な余韻を残すこと。小町通りの喧騒から一歩入れば、別世界に包まれるような、緊張を解きほぐす心地よい空間を目指しました。
「最高のハム」との出会いが生まれる場になるよう願いを込めて。

KAMAHAM PLUS+

用途
ハム専門店
場所
JR横須賀線 鎌倉駅
竣工
2024年9月
構造
鉄筋コンクリート造
階数
1階
実績の画像
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