東逗子の静かなまちに佇む「豆と日々」は、忙しい毎日のなかでふっと呼吸が戻るような、“ささやかなご褒美の時間”を届けるコーヒースタンドです。朝、子どもを送り出した帰り道にひと息つきたいときも、夕方の家路で少し気持ちを整えたいときも、暮らしのリズムにそっと寄り添い、丁寧に淹れた一杯が心の輪郭をやわらかく整えてくれる。そんな日常の小さな余白を、香りとあたたかさでやさしく包み込む場所でありたいと考えています。
その思いをかたちにするため、空間は“素材と静けさ”を軸にデザインしました。無垢材のぬくもり、光を柔らかく返すモルタルの床、時の経過で深みを増す真鍮の灯り。どれも飾り立てるのではなく、素材そのものの表情が静かに呼吸し、訪れる人の気持ちを落ち着かせるように。手触りの良い木のカウンターに触れると、自然な温度が指先に残り、冷たさの奥に温度を宿すモルタルとの対比が、店全体にやわらかなリズムを生み出します。真鍮の照明は時間帯によって表情を変え、コーヒーの香りとともにほのかな光の揺らぎを添え、空間に深い安らぎをもたらします。
“特別ではないけれど、なんだか心が整う”。そんな、暮らしにとけ込む自然体の心地よさが、この店の核です。派手さよりも、やさしさを。正しさよりも、ほぐれる感覚を。豆と日々は、誰かのためではなく“自分のために選ぶ一杯”を静かに肯定し、東逗子の日常にそっと寄り添う小さな交差点のような存在でありたいと願っています。
ここで過ごすわずかな時間が、今日をほんの少しやさしくすること。
「至高のコーヒー」との出会いが生まれる場になるよう願いを込めて。








