1号店で念願の宿泊施設を開業する喜び

ヨリドコロ・港の灯り オーナー

恵武志

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kusukusu inc. 代表

鈴木 竜

干物カフェ「ヨリドコロ」のオーナー恵さんに引き続きお話を伺いました。今回は、葉山の一棟貸し旅館「港の灯り」についてです。カフェ運営のみならず、旅館運営についても詳しくお話を伺いました。内外装及びロゴデザイン、ブランディングを担当させて頂きました。※「ヨリドコロ」の記事は、こちらをご覧ください。

ヨリドコロがオープンして1年くらいで一棟貸し旅館「港の灯り」をオープンされましたが、旅館の物件探しはどの様にされましたか?

ヨリドコロオープン後9ヶ月目くらいの時に、物件を改装する様子なども見ていた近所の方がヨリドコロのお店に来てくださったんです。その方は大工さんなのですが、古民家が好きで、ご自身でも古民家を持っているということだったんです。それで意気投合をして、その古民家を改装するから手伝わないか、と言われました。更に、改装しても大工さんご自身ではどうしようもないので、使っても良いということになり…ただ、他にも古民家の購入を希望されていた方もいました。なので、クスクスさんに協力して頂きプレゼンテーションシートを作り、古民家の持ち主である大工さんに思いや構想を伝えたところ、この場所で旅館をやらせて頂けることになりました。本当にクスクスさんとは二人三脚なんです。

飲食店と旅館の経営面、運営面ともに色々な違いはあると思いますが、それぞれの面白みと大変な点を教えて頂けますか?

細かい違いは色々ありますが、基本は同じですね。自分たちの作り上げてきたブランドを通してお客様に喜んでもらうという点では全く同じことをしています。仲間も、自分自身も料理人や宿泊業経験者はいないのですが、こうして皆さんに喜んで頂くことはできているので、もちろん技術は突き詰めれば奥深いと思いますが、根本は「いかにお客様に喜んでもらうか」ということだと思います。その意味でも、ブランディングは非常に重要です。

未経験の分野で開業することに迷いはありませんでしたか?

前職では技術職や営業など色々な仕事をやらせて頂きました。海外に住んでいて、飲食店でのアルバイトをさせて頂いたこともありました。なので、接客や飲食に関して全く関わりがなかったわけではないのですが、やはり未経験の職種で開業するというのは勇気のいることでした。でも、未経験だからこそ良かったなと今では思っています。業界ではタブーなことや当たり前のことを知らずにやってしまって、でもそれが結局はお客様に喜んでもらえたり。だから、未経験であるということは強みだと思っています。

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周辺には高級リゾートも多くありますが、差別化というか、こだわっている点ありますか?

自分の強みや市場を知るブランディング作業をして、そこから生まれたコンセプトを徹底してやることが差別化に繋がっています。うちの場合だと、古民家なので高級リゾートとは違うし、分析の末に生まれたコンセプトの「ただいまと言える場所」を表現しようとすれば、必然的に高級リゾートとは違ってくる。なので、コンセプトに忠実でいるということが差別化のために行っていることになりますかね。大手ができないことをいかにやれるか、というのが勝負になってくると思います。

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一棟貸しというスタイルを選ばれた理由を教えてください。

「港の灯り」でもクスクスさんとブランディング作業をしたのですが、その時に、大勢に向けてというよりは、一対一の感覚でお客様にいかに喜んでもらえるかという方が自分たちには向いているとわかりました。物件が決まった段階では、ゲストハウスになる可能性もありましたが、ブランディングやマーケティング作業を通して、一棟貸しというスタイルに決まっていきました。その過程ではもちろん数字の計算もしています。うちの場合は飲食店(ヨリドコロ)も経営しているので、人の流用ができるというのも利点でした。自分たちの強みと競合、数字面を加味して、沢山選択肢を考えた上で、一棟貸しに決まりました。それは実際に非常に良い選択でした。

これからお店を持たれる方々へのアドバイスやメッセージをお願いします。

色々なことをやってみて、作戦を立てて実行して、そこから学びを得て、また作戦を立てて…というサイクルを繰り返していく中で、やり方もわかってきて、やれることもどんどん増えていきました。最初は本当に経済的にもキツイと思いますが、経済的にも時間的にもどんどん自由度が増していって、その先に見えるものはやはり起業しないと見えてこないものだと思うので、やって本当に良かったです。僕もまだまだその過程にいますが、その中で色々な出会いもあるので、人生が豊かになると思います。あとは、ブランディングの部分を戦略的にここまで考えてくれて、それを設計に落とし込んでくれる会社さんってクスクスさんが日本で唯一と言っても過言ではないと思うので、クスクスさんと二人三脚でやってこれたのは、本当に良かったです。皆さんも頑張ってください!

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