パリと鎌倉をデザートでつなぐ

Régalez – Vous オーナー

佐藤亮太郎

×

kusukusu Inc. 代表

鈴木 竜

今回は、26年間本場フランスのシェフパティシエとして第一線で活躍していたRégalez-Vous(レガレヴ)のオーナーシェフの佐藤亮太郎さんにお話を伺いました。

Régalez–Vous
26年間フランスで活躍していたということですが、今回鎌倉に出店しようと思ったきっかけはなんですか?

日本に来るたびに、よく鎌倉には遊びに来ていました。家族も夏に花火大会とかに来たり、ちょうど去年の 2 月も家族でお鮨を食べに来たり遊びに来ていて、縁があったんだと思います。日本で何度も来ることがあったのは、実家のある東十条と鎌倉ぐらいなんです。暮らしを楽しむ人たちが多くて、鎌倉と僕が26年住んでいるフランスが、食に対しても貪欲というか、美味しいものを食べたいという人が多いのも、似ているなぁって感じていました。鎌倉では、季節を感じながら、食や暮らしを楽しむ人たちが集まっていて、自分のやりたいことができると直感したことがきっかけですね。

今回、クスクスに依頼したのはなぜですか?

鎌倉でジャム屋さんをやっている、30年来の友人のロミ・ユニ コンフィチュールのいがらしろみさんにご紹介してもらったのがきっかけです。初めて代表の鈴木竜さんにお会いして、話をしているときに「この人にお願いしたい!」と思いました。

Régalez–Vous

 

実際にお店ができてみてどうでしょうか?お気に入りのところはどこですか?

私自身は今も家族がフランスにいて、今後フランスで出店したいという思いもあります。
その時にも同じようなデザインで統一して店舗を作りたいと思っているんで、パリのイメージを出したかったんですね。その中でもタイルは譲れないポイントでした。

お気に入りのところは、お客様がお店に入ってきて、一番に目に入るヴルーの扉ですね。レガレヴルーと名付けたこのヴルーと白のコントラスト、そしてやっぱりこのタイルですね!
そして一番は、ステージのように一段上がっているカウンターです。このカウンターはお客様に目の前でデセールを作り上げるところを見てもらえる席となってるんですね。たった7席の特別な席となっています。お客様の顔を見ながら、サービスをして、目の前で召し上がってもらえるというのも楽しみでもありますね!

パティスリーとデセールではどんな違いがあるんですか?

僕はお菓子屋さんの生まれで、パティスリーというのは、朝作って、その日の夜に食べても同じようにおいしく食べられるように作る。デセールは作って一瞬で目の前でお客様が召し上がってくれる。っていう、この違いが大きい。デセールっていうのは、今できて今食べて今返ってくる。表現するのも一瞬で、応えが返ってくるのも一瞬で、そっちの方が僕は興味があったんですね。

 

Régalez–Vous

パティスリーではなく、レストランデセールのお店にしたのはなぜですか?

お客様から空になったお皿が返ってきたときの喜びっていうのが、いいですよね。レストランデセールっていうのは一瞬。美しく盛り付けして出して、お客様がスプーンを入れたら崩れちゃう。でも、お客様の表情が目の前で見えるのがいいなと思って、自分の仕事を表現するなら、こういうお客様の顔が見えるレストランデセールのお店だって考えていました。

どんな方に来ていただきたいですか?

もちろん、いろんな方に来て頂きたいです。
カウンターやテーブルで、出来立てのサンドイッチとデセールを召し上がって、紅茶とミニャルディーズでゆっくりして頂くのが「Regalez-Vous」で楽しんでいただくスタイルですが、朝は、ヴィエノワズリーとカフェオレを気軽に。もちろんデセールとコーヒー、紅茶だけでも・・・というふうに、自由に楽しんで頂けます。お店に入って楽しんでいただいて、デセールを見て目で楽しんでもらって、味わって頂いて、気に入って頂けたら、また別の日には朝食にヴィエノワズリーをお散歩途中で買っていただいても、また焼菓子を手土産で利用して頂いたりして、僕たちが表現したいことを感じ取ってくれたらうれしいです。

店名レガレヴの意味を教えてください

「Régalez-Vous!(レガレヴ)」は、食事を振舞いご馳走をする時に使う言葉で、どうぞ心ゆくまで味わい満喫してください、っていうおもてなしの気持ちの表現です。「Bon appetit !」とも似ているんですけど、「Régalez-vous!(レガレ ヴ)」っていうのは作った人しか使えない言葉なんですね。「ボナペティ」よりも食事や雰囲気が一段階上の時のときに使う言葉なんです。実はこの店名は鎌倉で出すための名前じゃなくて、パリでお店を出すために考えていました。この Regalez Vous(レガレヴ) というのはあまり話し言葉では使われない単語ですが、この言葉を店名にするアイデアをフランスの友人に話したときに、「亮太郎っぽいね!」と言ってもらえたのがうれしかったですね。
心をこめて作った特別なデセール、他では食べられないおいしいデセールを皆さんに堪能してほしいという願いをこめて、この店名をつけました。

Régalez–Vous
今回のお店に対する満足度を聞かせてください!

それはもう100点以上ですね!
僕のお店だからではなくて、僕自身が入ってみたいと思えるお店ができたことに感謝したいです!

クスクスはデザイン事務所ですが、店舗デザインの他にロゴデザインや、ブランドのあり方についてや、PRまでトータルで関わらせていただきましたが、いかがでしたか。

デザインに関しては、先ほども言いましたがとても満足しています。鎌倉のことを教えてくれた恩師でもありますし、ロゴからPRまで、本当にトータルでみてもらいました。
設計事務所さんだったら、通常はお引き渡しで、はい、さようならってなってもおかしくないんでしょうが、オープンまでいろんなところをサポートしてもらっています。もちろん、オープン後も関係を続けさせて頂きたいと思っております。

デザインをお願いするにしてもコミュニケーションがしっかりとれるということはとても重要だと思うんです。その点に関しては最終的にはなんでも話せる気の合う友人のような関係になれたこともとても嬉しいですね!まだまだこれからもお手伝いしてもらうつもりです!

Régalez–Vous

何度も議論を交わし、レイアウトを決めていく。

クスクスと仕事をしてみてどうでしたか?

僕はデザートをつくる仕事をしているので、全く違う職種の人なので、デザイナーである竜さんが歩み寄ってきてくれたからこそできたお店だと思います。本当にあっという間の数ヶ月でした。
喜怒哀楽、一緒に感じて寄り添ってくれて、すごくいいお店ができたと思います!
あまりにあっという間でこのまま終わってしまうのが寂しいです。

次の日本での出店や、今後の展開について教えてください!

今回と同じスタイルのお店をパリに出したいと思っています。今回集まってくれたスタッフのパティシエは、パリで一緒に働いていた田中を筆頭に、フランスに行きたい人も多くいます。できたら、そのスタッフもパリに連れていきたいと思っています。パリは早ければ2年後、そしてその後に東京。鎌倉、パリ、東京のこの三角形を叶えたら、その後アジアなどに出店してもいいですし。最終的にはニューヨークで僕が一人でやるようなこじんまりとしたお店をやりたいと思ってます。
もちろんパリでの出店の際にはぜひ一緒に来てくださいね!

本当に末長いお付き合いをさせて頂きたいと思っております。

Régalez–Vous